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肩峰下インピンジメント症候群 PAEG TOP PART-1-1 |
(1) 病態および原因 肩関節外転(体の外から手を上げていく動作)によって、上は肩峰や烏口肩峰靭帯、下は上腕骨(骨頭あたり)が接近し、その間にある腱版(棘上筋腱)や肩峰下滑液包が挟撃される。この運動を長年繰り返すと、腱板の慢性炎症や慢性の肩峰下滑液包炎し、夜間に強い肩関節痛が起こる。 |
(2)症状および診断 主症状は夜間に増強する疼痛や、肩関節外転(肩の高さまで腕を上げると90度外転)70度から120度の辺りで挙上や下降時に運動痛が出る。動作痛のため肩を動かさないため、関節拘縮をともなうこれは五十肩などと同じ、X線撮影(骨棘形成、肩甲骨下面硬化など)超音波検査(腱断列などの鑑別)) |
(3)治療 保存療法は、消炎鎮痛剤やステロイドの注射、炎症時期は患部の固定(テーピングなど)安静にし、冷罨法、疼痛が治まった時期より温罨法、超音波療法、運動療法を行うが、痛みを伴う運動の禁止を指導する。 観血療法は、長期間の保存療法で改善がない場合は、手術(肩峰形成術)を行うことになる。 |
腱板断裂 PAEG TOP PART-1-2 |
(1) 病態および原因 もっとも損傷を受けるのは、棘上筋腱である。中年以降の男性に多い特に右肩であり肩の使い過ぎが原因と思われる。棘上筋腱は上腕骨頭と肩峰や烏口突起にはさまれているため、肩関節外転時の圧迫などで摩擦により損傷し断裂する。活発な動作(運動)によって発生する場合と、加齢による変性腱板に軽微な(日常の動作)で発生することがります。 完全断裂と不完全断裂があり、若い年齢では野球肩で不完全断裂が有ります。 |
(2)症状および診断 五十肩のように肩関節の動きが悪くなることは少ない。運動障害・運動痛・夜間痛(睡眠がとれない)、肩関節外転(体の外側から腕を上げる動作)60度までなら疼痛なく可能であるが、それ以上になれば疼痛で自動運動では不可になる。上腕骨大結節辺り棘上筋付着部に圧痛があり、腕を挙上した時このあたりにジョリジョリという軋轢音がする。 触診にて棘上筋・棘下筋の萎縮あるかみる。X線撮影(肩峰下縁と上腕骨頭頂点との間の隙間が狭くなる)超音波検査、MRI(骨頭の上方の腱板に断裂みえる) |
(3)治療 急性外傷で不完全断裂など症状が軽い場合は三角巾で1〜2週間安静にする。症状が強い場合はゼロポジション固定(装具またはギブス)2〜3週間固定する。 肩関節周囲炎併発による夜間痛があると、水溶副腎皮質ホルモンと局所麻酔剤を注射する。 夜間痛がなくなれば、ヒアルロンサンの注射に変える。腱板機能訓練を行う。 観血療法は保存療法が無効な場合や、全層断裂の場合に適用される。 |
腱板損傷 PAEG TOP PART-1-3 |
(1) 病態および原因 スキーやラグビーなどの転倒時に肩に強い外力が加わった時や、転倒時に手をつくなどの小さな外力によって生じる。投球動作などによるインピージメントの繰り返しによっても生じる。 neerによるインピージメントの分類 stageT 急性腱板炎・肩峰下滑液包炎 stageU 慢性腱板炎・肩峰下滑液包の肥厚、繊維化 stageV 腱板断裂 |
(2)症状および診断 主症状は関節痛であり、受傷後6時間〜10時間ぐらいで疼痛が強くなるのが特徴である。肩関節の挙上など運動障害や疼痛を伴う。肩関節60度以上で疼痛が強く生じる。 陳旧例では肩関節挙上時に軋轢音もある。大結節の圧通、断裂腱板の陥凹を触診、棘上筋棘下筋の萎縮などが認められる。 |
(3)治療 保存療法としては、局所の安静と消炎鎮痛剤の注射やステロイドの関節内や肩峰下滑液包内への注射が有効、関節可動域訓練や筋力強化訓練など 観血療法としては、多くは肩峰下滑液包と腱板の癒着の剥離して腱板断裂端を引き寄せる。その他上腕二頭筋長頭腱を用いた補強や、棘上筋前進術を行う。腱板不全断裂に対しては関節鏡視下肩峰除圧術が行われる。 |
腱板疎部損傷 PAEG TOP PART-1-4 |
(1) 病態および原因 腱板疎部とは、肩甲下筋腱(上腕骨頭の前方に付着する腱)と棘上筋(上腕骨頭の上方に付着する腱)の隙間のこと、薄い膜状の組織で外力による損傷を受けやすいところである。 過度な外旋から急激な内旋などの投球動作、バレーボールのスパイクなどの動作で損傷する。又、転倒や腕を引っ張られるなどでもそんしょうする。 |
(2)症状および診断 主症状は疼痛、疎部の圧痛は著名であり、挙上や肩の外旋運動時痛を生じる。その他上肢のシビレやダルさを訴えることもある。肩関節の内旋位での不安定性を認める。関節造影剤の露出を観察する。 |
(3)治療 保存療法は腱板損傷などと同様に行う。固定3週間以上で疼痛継続なら、造影剤にて確定診断する。 3ケ月たっても症状取れなければ、観血療法(縫合術)行う。 |
肩関節拘縮(五十肩) PAEG TOP PART-1-5 |
(1) 病態および原因 中年以降、特に50代に多くみられる。特殊な誘因のない疼痛性肩関節可動域制限のことである。 肩関節を構成する骨、軟骨、靭帯や腱の老化により肩関節周囲に炎症を起こすことがおもな原因と考えられる。肩峰下滑液包や関節包が癒着すると肩の動きが更に悪化(拘縮・凍結肩)になる。 関節包や滑膜の慢性炎症、棘上筋の石灰沈着、上腕二頭筋や靭帯の部分断裂、炎症などにより運動障害が起こる。肩関節はどの方向にも大きく動かすため、肩甲骨関節窩が小さく上腕骨頭が大きい球関節であり構造的には不安定な関節である。そのため関節包や発達した腱板が強度を高めている。 そのため、肩の酷使や軽度の損傷を繰り返すことで炎症が起こり疼痛が発生することも考えられる。 |
(2)症状および診断 肩甲部の疼痛と運動制限、夜間にうずく痛み、痛みは前腕や手、頚部に放散する。良く似た他の疾患との識別も必要となる。腱板断裂、石灰性腱炎、変形性肩関節症、絞扼性神経障害、頚椎症、神経源性筋萎縮症、腫瘍性疾患、内臓関連痛などとの識別が必要になる。 五十肩症状の経過時期 @痙縮期(freezing phase) ・痛みのために自動運動が制限される時期 ・運動痛、安静時痛が強い時期(夜間痛もある) ・圧痛部位は不定(烏口突起、結節間溝、大結節、関節裂隙など一定でない) A拘縮期(frozen phase) ・関節自体に拘縮が生じ、他動運動が制限される時期 ・症状は疼痛から拘縮に変わる時期 ・運動制限は肩甲上腕関節の全ての方向に制限される ・圧痛は慢性化するにつれ肩の後方に見られることが多くなる B回復期(thawing phase) ・疼痛や可動制限の回復時期 肩甲帯周囲筋は廃用性萎縮に陥りやすく、骨萎縮を大結節にみられる。関節の造影では関節包の腋窩部辺りに縮小が著明である。 |
(3)治療 肩関節の痛みを和らげて、肩関節の可動性を改善する。疼痛の改善は非ステロイド性消炎鎮痛薬の注射や、経口剤の服用する。痛み強い場合は、肩関節内にステロイド剤と局所麻酔剤の混合液や、ヒアルロン酸ナトリウムを注射する。経過が長く癒着部があれば手術することもある。ほとんど希である。関節可動域訓練(肩甲上腕関節、肩甲胸郭関節、胸鎖関節のモビリゼーション)とあわせて、温熱療法(ホットパック、極超短波、超音波など)を行う。可動制限が改善に従い徐々に自動運動や筋力 強化訓練を行う。 |
上腕二頭筋長頭腱障害 PAEG TOP PART-1-6 |
(1) 病態および原因 上腕二頭筋には長頭と短頭があり、長頭腱は上腕骨頭の前にある結節間溝を通り関節内部に入り肩甲骨の関節部分に付着します。重い物を持ち上げるなどの動作を繰り返すと、この結節間溝にて腱が摩擦され上腕二頭筋腱炎を起こすことがある。またもっと強い力がこの腱に加わると上腕二頭筋断裂を起こす。この断裂は肩関節側(近位)で起こる場合と肘側(遠位)で起こる場合があり、近位は高齢者に多く腱の変性が原因していることが多い、また女性に多い損傷でり、棘上筋腱炎や腱板損傷に合併して発生する。。遠位ではスポーツや作業中の事故などで起こることが多い言われる。 |
(2)症状および診断 主な症状は肩関節前面の疼痛、夜間痛が強く、局所の圧痛、前腕屈曲など力が入らない疼痛増強する。前腕屈曲で力瘤が肘方向に下がる。上腕二頭筋腱の遠位での断裂ではこの瘤は肩関節側に上がる。 肘関節の屈曲は上腕二頭筋短頭、上腕筋、腕橈骨筋で可能である。エコー画像・MRIにて診断する。 |
(3)治療 上腕二頭筋炎は基本的に保存療法は、結節間溝周辺の腫脹・熱感がある場合はアイシングを行います。痛みが強い場合は三角巾にて提肘固定や、テーピングを行い、投薬は鎮痛剤や抗炎症剤で、ステロイド剤の注射も必要により行う。後に理学療法は関節可動訓練や筋力強化訓練を行う。 上腕二頭筋長頭腱の断裂は、他の筋の働きがあるため若干筋力は低下するが、疼痛が消失していれば断裂したままで保存療法を行う。若年者やスポーツ選手などには必要により観血治療となる。具体的治療は上腕二頭筋炎と同様になる。 |
投球傷害肩 PAEG TOP PART-1-7 |
(1) 病態および原因 投球動作によって発生した肩関節傷害を総称したものであり、野球以外でも、やり投げ、バレーボール、テニスなどラケット競技、水泳でも同僚の傷害が発生する。損傷を分類すると、インピージメント症候群、腱板断裂、リトルリーガーショルダ(上腕骨近位骨端線離開 14歳前後の成長期の投手に多い)、ベンネット病変(関節窩後下縁の骨性増殖 後方関節唇や上腕二頭筋外側頭の牽引力)、SLAP損傷(前後上方関節唇損傷 上腕二頭筋長頭の牽引力)などを総称している。その他投球動作では肩関節前方亜脱臼もこの損傷に含まれる。投球動作では、広背筋、大胸筋、三角筋、大円筋、小円筋、棘下筋では急激な収縮、弛緩によって加わる力が大きい。一般的には投球傷害肩は投手に多いため野球肩と言われる 。 |
(2)症状および診断 投球動作中に弾発音、軋轢音を伴うことが多い、どの投球動作期にどの部分に痛みが生じるか知ることが重要である。テストによりインピンジメント陽性か、局所麻酔にて疼痛が消失するか、腱板損傷、腱板疎部損傷の診断は関節造影、MRI、超音波検査を行う。関節唇損傷の診断は関節鏡による検査になる。 |
(3)治療 まずは保存療法が選択される。投球傷害の原因の1つとしてオーバーユーズが上げられるので、投球の一時的に中止させる。患部を安静にし炎症や疼痛がおさまった時期よりは、関節可動域訓練や筋力強化訓練を段階的に開始する。保存療法が無効な場合は、観血療法になる。インピンジメント症候群による慢性的な肩峰下滑液包炎や腱板損傷が認められ場合滑液包切除や肩峰下切除術、関節唇の損傷では切除や修復術、腱板疎部関節包の損傷の場合の縫合などを行う。 |
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