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外傷性頚部症候群(頚椎捻挫、いわゆるむち打ち損傷) PAEG TOP PART-7-1 |
(1) 病態および原因 頚椎捻挫とは、頭部や頸部に直達外力が加わったものでなく、体幹に加わった衝撃力により頭部が後ろや前に振れる事で、頚椎が強制的に過伸展・過屈曲され生じるものである。脱臼骨折はこの傷病名からは除外される。 頚椎捻挫では、頸部筋、靭帯、椎間板、関節包などの軟部組織の損傷、神経根、脊髄、交感神経なども損傷する。 |
(2)症状および診断 症状別に分類すると以下の4つに分類される。 ①捻挫型 ・筋肉型 主に胸鎖乳突筋の過伸張による損傷、長引かず3週間程度で完治することが多い。 ・椎間関節型 椎間板の捻挫、重度の場合は椎間板も損傷しまれではあるがヘルニアになることもある。 受傷後3~4日で首の痛みや首が動かなくなるなどの症状がでる。軽度の場合は3週間程度で軽快するが重度の場合は、3~4ヶ月以上症状が残ることがある。 ②神経根損傷型 肩、背中、腕、肘、後頭部などに受傷直後から2週3週ぐらいに増強する痛みが生じる。軽度の場合はシビレ程度の場合もある。運動神経も損傷され上肢の筋力低下や握力ていかもみられる。長引くと半年1年以上もかかることがある。MRIなどの検査が必要である。 ③自律神経障害型 肩こり、頭痛、吐き気、めまい、耳鳴り、目の疲労、不眠など後頸部交感神経による強固な症状(バレリュー症候群=後部頸交感神経症候群)が継続することも多い。これは受傷直後には見られないが、早くて1週間遅くて2ヶ月経過してから現れる。 軽快するまで半年1年以上もかかることがある。 ④脊髄損傷型 両手のシビレ、筋力低下,重度損傷であれば両下肢の麻痺もある。軽度では1ヶ月程度で軽快するが、他の型と合併することもある。 ①~④の症状は重複してでることが多い。 診断としては、受傷時の状況や今の症状など詳細にききとる。 頸部の圧痛、棘突起の叩打痛有無、頚椎の動き(可動性など)みる。上肢や下肢にシビレなどの症状がある場合は、頭部圧迫試験、四肢の件反射、握力を含めた筋力検査、知覚検査など神経学的検査を行う。X線検査やMRI検査など画像検査を行う。 |
(3)治療 治療は基本的に保存療法である。急性期は、基本的に手足の捻挫などと同様の治療を行う。 安静にし、消炎鎮痛薬、筋弛緩剤などの内服薬の投与、冷湿布、頸部の牽引や温熱療法は受傷後の2~3週は症状悪化させるため行わない。頚椎カラー(ポリネックカラー)で頸部を固定する。 頭痛やめまい、耳鳴り、吐き気など症状が強い場合や頸部の運動制限が著しい場合は、入院し精密検査を必要とする。 亜急性期は、頸部の牽引や温熱療法などの理学療法を行う。場合によっては神経ブロック、大後頭神経やトリガーポイント注射を行う。薬物療法は急性期と同じ、頚椎カラーは長期使用と筋力低下や頚椎の拘縮(硬くなる)注意が必要。 |
斜頚 PAEG TOP PART-7-2 |
(1) 病態および原因 斜頚とは、頭部が体幹に対して斜位で固定されたものである。先天性斜位と後天性斜位に大きく分類される。 ・先天性斜位は最も頻度が多く、胸鎖乳突筋の拘縮により起こる。患側に首が傾き反対側に顔を向ける。触診では拘縮している胸鎖乳突筋にシコリガあり、生後数週間でもっとシコリは大きくななり、その後は自然に小さくなる。1歳までにほとんど自然治癒する。 ・骨性斜頚は生まれつき頚椎や胸椎に奇形があり、斜頚となる。 ・炎症性の斜頚は、中耳炎や扁桃炎などのあとに、環椎軸椎の並びに異常をきたし斜頚になることがある。これは固定してしまう恐れあり、整形外科を受診要である。 ・眼性斜頚は目の筋肉の異常にて斜頚となる。何かを注視すると首の傾きが大きくなる。幼児などには特に注意をようする。 |
(2)症状および診断 ①先天性斜頚 筋性斜頚は修正直後は筋腫瘤は目立たないが、生後1週間で腫瘤を確認出来る。2~4週間で腫瘤は大きくなり、その後小さくなり殆どは自然治癒する。一部は索状かして斜頚が固定される。 上位頚椎を中心とする骨性奇形による斜頚は、歯突起形成異常、環椎後頭骨融合、頭蓋骨底陥入症などがある。 ②後天性斜頚 瘢痕性斜頚(頸部の火傷や外傷、その他頸部蜂窩織炎の治療後、一側性の皮膚や皮下組織の瘢痕などで生じる)、炎症性斜頚(扁桃炎、咽頭炎など頸部深部のリンパに炎症を生じ、頸部筋の拘縮をおこしたり炎症が環軸関節に波及したものである。リュウマチによる環軸関節の亜脱臼などもある)、骨関節性斜頚(環軸椎の回旋固定、回旋変位による斜頚)、眼性斜頚(斜視を伴う)、耳性斜頚(片側の難聴、平衡機能障害などによる斜頚)、神経性斜(弛緩性麻痺性斜頚、痙性麻痺性斜頚)、習慣性斜頚(日常の癖) 診断としては、先天性筋性斜頚は生後直後に気づくことが多い。先天性骨性の奇形と炎症性斜頚はX検査、炎症性は特に問診の情報が大事であり、口を開けた状態でX線検査CT検査を行う。 眼性斜頚は他の斜頚と鑑別する。 |
(3)治療 ①先天性斜頚の治療 筋性斜頚は、約9割は一歳ぐらいまでに自然に症状がなくなるので、それまでは枕を使って首の向きを調整したり向きにくい方から声をかけたりしながら様子をみる。2歳が過ぎても症状がある場合は、手術で突っ張っている筋の部分切除を行う。 骨性斜頚は、筋性に比べてなおりにくい、成長する過程で症状や障害が強くなると手術になるが、それまでは筋弛緩剤などの薬物療法を行う。 ②後天性斜頚の治療 痙性斜頚は、頸部ジストニアや攣縮性斜頚とも呼ばれる。筋弛緩剤やポツリヌス注射が有効であるが数ヶ月しか効果持続しない、ので繰り返しとなる。手術では筋肉を緊張させる神経を遮断する方法もある。 炎症性斜頚は、マッサージなどは禁止安静にします。消炎鎮痛剤などの投与、頚椎カラー着用する。 眼性斜頚は、目の動かす筋肉の異常を改善するためのマッサージや薬物療法、両目視機能訓練や視力増強訓練、弱視に対する治療が行われる。視力回復のためのレーザー治療屈折矯正、適切なメガネ、コンタクトの使用 耳性斜頚は、難聴なら難聴の治療や補聴器使用する。平衡感覚が悪い場合は薬の服用によって改善する。効果が無い時手術もある。 |
頚椎椎間板ヘルニア PAEG TOP PART-7-3 |
(1) 病態および原因 椎間板は頚椎の間にある外側は繊維軟骨(繊維輪)で被われ中心に髄核がある。弾力性があり衝撃を吸収する役目を果たしており、この髄核が脱出したものが頚椎椎間板ヘルニアである。胸椎ではほとんど見られることはないが、腰椎ヘルニアも多く聞かれる。頬骨は胸郭(肋骨などにて固定されているためヘルニアが起こりにくいと思われる) 加齢による退行変性、極端な猫背、スポーツ、頚椎の脱臼や外傷が原因するものある。 通常は髄核脱出は椎間板の後方か後側方におこる。後方の場合は脊髄を圧迫、後側方の場合は片側の腕などに神経障害を生じる。 30~50歳の男性に多く発生する。好発高位は、多いものからC5-6、C6-7,C4-5である。 |
(2)症状および診断 ①神経根症状 一側性の肩甲骨周辺の疼痛、上肢への放散痛、前腕や手指のシビレと知覚障害、脱力、筋萎縮、筋の繊維束孿縮(ぴくぴくと引きつるような筋肉の収縮、筋肉が神経による支配がなくなると出現する。つまり下位ニューロン障害で出現する。大脳皮質からの命令が遮断されると、骨格筋が勝手に脱分極し、無秩序に収縮するたまに起こる現象である。)などを認める。 診断は、各種検査を行う。神経学的分析(デルマトーム、筋力テストによる支配筋、深部権反射)でどの神経根にヘルニアがあるか推測する。 スパーリングテスト(患者いすに座らせ、後方より頭部を掴み、患側ににかたむけ圧迫する) ジャクソンテスト(スパーリングテストに加え増強テストとして頚椎に後屈をくわえる) ショルダーデプレッションテスト(患者いすに座らせ、片方手で健側に傾け、同時に他の手で患側の肩を押し下げる)上記テスト陽性となる。 ②脊髄症状 知覚障害は手指、手掌全体に及ぶシビレ、更に下肢にまで及ぶ。書字や更衣などの手指巧緻障害、下肢痙性麻痺として、階段下降時手すり必要、走れない、ジャンプできないなどが特徴である。排尿不全、下肢腱反射亢進、下肢手指の病的反射テスト陽性となる。 ホフマン反射(検者の示指と中指で患者の中指末節を挟み、その中指を母指で屈曲させ急に放す。すると全指ことに母指が掌側に屈曲する。と陽性) ワルテンベルグ反射(患者の母指を除いた4指を軽く曲げ、この掌側に示指と中指を直角に置く、その上をハンマーで叩くと母指を含めて全指が屈曲する。と陽性) <参考> 痙性麻痺 筋肉がつっぱったまま動かなくなる状態、高位運動ニューロン(錘体路)の障害であり、下位運動ニューロンに対する抑制が効かなくなり、筋伸張反射が過剰に働き、筋トーヌスか亢進して痙性麻痺が起こる。脳梗塞の後遺症に痙性麻痺は多い。 弛緩麻痺 筋肉がくにゃくにゃと柔らかくなって動かなくなった状態、下位運動ニューロンの障害であり、筋伸張反射を働かせる信号が伝わらないため、このため筋は収縮できずに筋トーヌスは低下し、弛緩麻痺になる。筋刺激が消失し筋は萎縮する。 <参考>ウェルドニッヒ・ホフマン病はこの下位運動ニューロンの変性で、弛緩性四肢麻痺を呈する難病がある。 診断については、問診、各種整形的検査、画像検査(X線、CT、脊髄造影、MRI)を行い確定診断する。 |
(3)治療 上肢への放散痛やシビレが主症状の場合は、保存療法が原則である。保存療法には、頚椎牽引療法、頸部カラー固定、頸部のマッサージなどを行う。この治療で症状が悪化しないか十分注意要す。 頚椎カラーは有用であるが、長期使用は筋萎縮などになることがあるため、頚椎カラーを使用して効果があるようであれば、長くても8週程度にすること。痛みが強い場合は、筋弛緩剤や消炎鎮痛剤を使用する。シビレや巧緻運動障害が主であればビタミンB剤が使われる。 保存療法で上肢の痛みや上肢の筋力低下が改善しない場合は、手術適用となる。 両側の手足のシビレ・麻痺や筋肉萎縮・巧緻運動障害・歩行障害などがみられことや、症状が改善せず進行する場合は、手術療法が適用される。 手術は基本的に、頚椎前方到着法が用いられ、全身麻酔下で仰臥位で行われる。頸部の右側場合により左側を切開し、気管と食道をよけて頚椎の前面に到着し、頚椎の一部を削り脊髄方向に進める。手術操作は手術用顕微鏡下で行われる。これにより脊髄の圧迫を除去し、手術で開けた穴に腰骨や人工物(スペンサー)を挿入する。創部ドレナージ(細い排液用の間を係留し手術を終える。2~3時間の手術になる。この手術は脊髄症状に用いられる。 また後方からの脊柱管拡大術もある。 |
頚椎症、頚椎症性神経根症、頚椎症性脊髄症 PAEG TOP PART-7-4 |
(1) 病態および原因 頚椎と椎間板の退行変性(加齢により中年以降に後発)である。PC作業など上肢を長時間使う人や、美容師など上肢を挙上し仕事をする人に多い。頚椎横突起に付着筋などの牽引力がよくかかるしかも左右にバランスを悪くすることなどが、原因かもしれない。また加齢による椎間板変性が原因かもしれない。 椎体周辺(ルシカ関節も含む)反応性に骨増殖が起き、その増殖した骨が、神経根圧迫や脊髄を圧迫すこと、またこの合併により神経性の各症状が生じる。頚椎のヘルニアと症状は類似する。腰椎狭窄症の同様に骨の増殖だある。 出現の頻度は、C5-C6→C6-C7→C4-5の順に多いがどのレベルでも起こりえる。椎間板の変性進行と伴に、椎間間隙の狭窄化、椎体辺縁の骨棘形成、更に椎間関節の変性、頚椎柱アライメント異常を起こす。結果的に脊髄を圧迫したり、椎間孔の狭窄にて神経障害を起こす。 |
(2)症状および診断 頚椎症状、神経根症状、脊髄症状の3つが症状としてあり、症状が複合することもある。 ①頚椎症状 後頸部痛、肩周辺の疼痛、重圧感などを自覚する。症状が慢性化し運動制限も生じる。 ②神経根症状 圧迫にともなう神経根刺激症状、上肢のシビレ、放散痛、上肢の脱力、筋萎縮、知覚障害、筋の繊維束攣縮がみられる。C5、C6、C7、C8頚髄節、T1胸隋節どこに圧迫があるかで症状は変わる。下位ニューロンの障害であり、その支配領域に筋トヌース(筋肉をすっかり弛緩させた状態でも筋肉は不随に緊張した状態にあること)の低下を伴うし弛緩性麻痺をきたし、深部反射は減弱ないし消失し筋萎縮を伴う。 ③脊髄症状 神経根症状に加えて、次の脊髄症の特有の症状がある。手指症状としてミエロパシーハンドと呼ばれる症状があり、手指伸展障害、巧緻機能低下を特徴とする。 ・10秒テスト 手指の握る開く(グーパー)が10秒間に20回以下であれば、10秒テスト低下と判断 ・finger escape sign 両手を前に出し、指揃えしたときに小指内転保持が困難となる。 ・ホフマン反射 検査者の示指と中指で患者中指末節をはさみ、その末節を検査者の母指で屈曲させてから急に放す。すると全指特に母指が掌側に屈曲する。(陽性を判断) ・バビンスキー反射 打鍵槌の柄などで足底を、踵から外縁に沿うように母趾に向かってこすると、母趾がゆっくりと背屈し、他の4指は扇のように開いて足底に屈曲する。(陽性を判断) 下肢腱反射亢進、痙性麻痺(痙性麻痺とは、上位運動ニューロンの障害で生じる。麻痺に陥った骨格筋の緊張が高まり、つっぱった状態になるもので、深部腱反射が亢進する。)により痙性歩行障害を生じる。神経因性膀胱などがみられる。 診断は、肩こり、頸部痛、上肢かしの運動制限、スパーリングテストなど整形学的検査、臨床神経学的所見とX線検査所見が決め手となる。 ①臨床神経学的所見とは、隋節ごとの特徴的症状をみる。 ・第5頸隋節 運動「三角筋・上腕二頭筋」 反射「上腕二頭筋反射」 感覚「上腕外側」 ・第6頸隋節 運動「上腕二頭筋・長短橈側手根伸筋」 反射「腕橈骨筋反射」 感覚「前腕外側から母趾示指」 ・第7頸隋節 運動「上腕三頭筋・手関節屈筋群・手指伸筋群」 反射「上腕三頭筋反射」 感覚「中指」 ・第8頸隋節 運動「骨間筋・手指屈筋群」 反射「なし」 感覚「前腕内側から薬指小指」 ・第1頸隋節 運動 「骨間筋のみ」 反射と感覚は第8頸隋節と同じ ②X線検査 槌間間隙狭窄(椎間板変性の進行により狭窄かする。全脊柱レベルでおこりうる) 椎体終板の骨化、椎体辺縁の骨棘形成、椎間狭窄化(斜位撮影で明確化) 脊柱管狭窄と後縦靭帯骨化症のX線検査は側面像あるいは矢上面断層像 前後屈撮影では頚椎不安定性の有無を検査する。 頚椎ヘルニアと同様に、スパーリングテスト、ジャクソンテスト、イートンテストを行う。 |
(3)治療 保存療法としては、頚椎の安静目的で頚椎カラーを使用(但し長期使用は筋萎縮となりかえって頸部痛を長くしてしまう、4~8週間で効果をみる)、頚椎牽引療法、頸部のマッサージや温熱療法を行う。疼痛が強い場合は硬膜外ブロック、消炎鎮痛剤などを用いる。シビレや巧緻障害が主な症状の場合は,ビタミンB剤を用いる。 頚椎前方到達法が用いられ、全身麻酔下で仰臥位で行われる。頸部の右側場合により左側を切開し、気管と食道をよけて頚椎の前面に到着し、頚椎の一部を削り脊髄方向に進める。手術操作は手術用顕微鏡下で行われる。これにより脊髄の圧迫を除去し、手術で開けた穴に腰骨や人工物(スペンサー)を挿入する。創部ドレナージ(細い排液用の間を係留し手術を終える。2~3時間の手術になる。この手術は脊髄症状に用いられる。 他に 頸部後方到達法が用いられる。これは椎弓を切開し縦溝をつくりそれを開き人工骨で補強する。 この術式は圧迫因子を取り除かず脊柱管を拡大するものである。 |
頚椎後縦靭帯骨化症 PAEG TOP PART-7-5 |
(1) 病態および原因 頚椎後縦靭帯骨化症(OPLL)は、頚椎椎体、椎間板の後面を上下に貼っている靭帯で、胸椎や腰椎まで連続して存在する。よってそれらの椎骨にも起こる事がある。後縦靭帯が何らかの原因(よく分らない)肥厚、骨化し、緩除に脊髄を圧迫し脊髄症状を呈するものである。頚椎症や頚椎ヘルニアなどと同様の症状が出現し、厚生省指定の難治疾患に指定されている。 原因は明らかでないが、欧米人に対して日本人を含むアジア系の人に発生率が高い(これは日本人は頭の重量が重いためか?)、同一家族に発生しやすいことから、常染色体優先遺伝が示唆されている。糖尿病の合併症も多い、 |
(2)症状および診断 全く無症状で偶然に発見されることも有るが、一側の上肢の特定領域にシビレや鈍痛が出現する。また両手にシビレが出たり、両手を使った細かい動作(手指巧緻運動障害)が徐々に出来にくくなたり、両足がシビレる歩行がなんとなくしにくくなる症状が出現する。 他に頚椎の可動域減少、肩こり、頸部痛などがみられるが、重要なのは脊椎の麻痺症状である自然発生によるものは緩除であるが、転倒など軽微な外傷を契機として急激に悪化することもある。 手指巧緻運動障害、痙性麻痺による歩行障害、排尿障害、脊髄後索が圧迫されると固有感覚障害(後索性失調症)を呈する。脊髄に出来る腫瘍などの軟部組織のによる圧迫に比べ、硬い靭帯による圧迫のため症状は強く、上下椎骨の広範囲に渡り圧迫する。 神経学的診断は頸部脊椎症による脊髄症と同じ、単純側面X線像で連続型骨化を捉えられる。分節型の把握には側面断層撮影、CTスキャンでは骨化巣の横断面の形や大きさを捉えることだできる。MIRや脊髄造影などによる検査もある。 |
(3)治療 基本的には安静と固定を目的押して、保存療法を行う。牽引はほとんどの症状に有効である。直達牽引(骨に金具をいれ牽引する)、観血療法の適用は、脊髄症の重症例(手指の強いシビレ・手指巧緻運動障害・痙性歩行・排尿障害)、もし脊髄症が軽傷であっても、転倒などの外傷が加わると重篤な頸隋症状をきたす恐れがあることを考慮して、観血的治療をすることがある。 観血的治療には骨化巣による圧迫から頸隋を除圧する前方進入法と後方進入法があるが、これについては頚椎症性脊髄症と同様である。一般的に2椎間以下であれば前方進入方、3椎以上の場合は後方進入法が選択される。 |
胸郭出口症候群 PAEG TOP PART-7-6 |
(1) 病態および原因 胸郭出口とは胸郭の上方の開口部からその側方にかけての領域のことであり、疎の領域にて腕神経叢が絞扼されることで、上肢にシビレやその他神経障害を来たすことを胸郭出口症候群と呼ぶ。 上肢や肩甲帯の運動や感覚を支配する腕神経叢は(通常脊髄から出て来る第5頸神経~第8頸神経と第1胸神経)から形成される。胸郭出口症候群は神経の絞扼部位により3つに分類される。 ①頸肋斜角筋症候群 前斜角筋と中斜角筋が拘縮しその間で絞扼されたものと、頸肋(第7頸椎の横突起が極端に長く肋骨のように見える)これが神経を刺激する。筋による絞扼は(斜角筋症候群とも呼ばれる)どちらも部位的には同じである。腕神経叢+鎖骨下動脈が絞扼される。 ②肋鎖症候群 第1肋骨と鎖骨の間の肋鎖間隙で絞扼される。腕神経叢+鎖骨下動脈+鎖骨下静脈が絞扼される。 ③過外転症候群(小胸筋症候群) 小胸筋の拘縮により絞扼される。腕神経叢+鎖骨下動脈+鎖骨下静脈が絞扼される。 胸郭出口症候群は、首が長くなで肩の女性に好発する。日常生活や仕事で上肢の挙上や重い物を持つなどで、発症や症状悪化を招く。 |
(2)症状および診断 主症状は神経症状と血管症状である。絞扼部が頸椎に近いほど神経症状、肩に近いほど血管症状を呈する。 具体的には、洗濯物を干す時の腕を上げる動作で上肢のシビレや肩腕、肩甲骨周辺の痛みを生じる。 前腕尺側と手の小指側に沿ってのうずくような、ときに刺すような痛みと、シビレなど感覚障害に加え、握力低下や手の細かい動作がしにくくなる運動麻痺などの症状が現れる。末梢神経の障害では手内筋の萎縮も伴う。 鎖骨下動脈が圧迫されると、上肢の血行が悪くなり腕は白っぽくなり、痛みが生じる。 鎖骨下静脈が圧迫されると、手・腕の静脈血の戻りが悪くなり青紫色になる。 診断は、問診視診でなで肩の女性や、重い物をも落ち運ぶ労働者で前述の症状があれば胸郭出口症候群の可能性は高くなる。鎖骨上窩の頚椎よりのところ触診で、骨性の隆起が触れれば頸肋の可能性あり、鎖骨や第1肋骨の変形により肋鎖間隙が狭くなっていないかも、どちらもX線で確認する。 次に症候群別に行う徒手検査は次の通り(どのテストも椅子に座位で行う) ①頸肋斜角筋症候群 ・モーレンテストは、鎖骨上窩で腕神経叢を圧迫すると圧痛、前胸部への放散痛がある。 ・アドソンテストは、患側の橈骨動脈を触診しながら、頭部伸展で患側に首を回旋させた状態で、大きく深呼吸させて鎖骨過動脈を圧迫すると、橈骨動脈の拍動が減弱または消失する。 ②肋鎖症候群 ・エデンテストは、両腕の橈骨動脈を触診しながら、患者胸を張らせた状態から両肩を後下方に引くことで橈骨動脈の拍動が減弱または消失する。 ③過外転症候群(小胸筋症候群) ・ライトテストは、両腕の橈骨動脈を触診しながら、両肩関節90度外転、外旋90度、肘関節90度屈曲させると橈骨動脈の拍動が減弱または消失する。 ・ルーツテストは、ライトテストの姿勢で両手指の屈伸を3分間行い、手指のシビレや、だるさで運動が3分間出来ない、上肢に蒼白やチアノーゼが見られる。 他の同じ症状の疾患との鑑別を行う、胸郭出口症候群は画像診断では分りにくいため、X線など画像診断で、他の疾患を除外する必要がある。他の疾患とは、頸椎椎間板ヘルニア、頸椎症、肘部管症候群、脊髄空洞症、腕神経叢腫瘍、脊髄腫瘍などである。 |
(3)治療 保存療法で効果がない場合は観血療法になるが、いずれにしても胸郭出口症候群には発生部位や要因が様々あるためそれを突き止めることが必要になる。 症状が軽度のときは、僧帽筋や肩甲挙筋の筋肉強化運動訓練を行わせる。肩甲帯が下がる姿勢の症例では肩甲骨を挙上させる装具を用いることもある。消炎鎮痛剤や血流改善剤、ビタミンB1など投与、頸神経叢ブロックや日常生活で原因となった動作や作業を避ける。 ①頸肋斜角筋症候群、②肋鎖症候群、③過外転症候群(小胸筋症候群)のど絞扼部位により手術法が異なる。 ①頸肋では、鎖骨の上から進入して切除術が行われる。斜角筋間での絞扼では、鎖骨下から進入し前斜角筋腱の切離が行われることがある。①②の区別がつきにくい場合は、必要により第1肋骨を切除することもある。 ②肋鎖間隙が狭い場合は、第1肋骨を切除することもある。腋の下から進入する方法と鎖骨の上から進入する方法がある。 ③小胸筋の烏口突起停止部での絞扼は、鎖骨下侵入で小胸筋腱の切離術が行われる。 |
上位頚椎損傷 PAEG TOP PART-7-7 準備中 |
(1) 病態および原因 |
(2)症状および診断 |
(3)治療 |
中・下位頚椎損傷 PAEG TOP PART-7-8 準備中 |
(1) 病態および原因 |
(2)症状および診断 |
(3)治療 |
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